毒殺の世界史
フランク・コラール
原書房、2009
ジャケ借りしたが、がっかり本だった。何ががっかりかというと、
(1)「世界史」と銘打ってはいるが、内容はすべて西洋史
(2)毒殺の詳しい手段の記述が殆どない。(刃物の片側に毒を塗る、程度で、例外的に詳しかったのが14世紀イタリアでの2件、1345年に小間使いが浣腸に仕込んだ毒、というのと1414年にワギナに毒を塗った若い娘とベッドをともにした、という記述であった。これは面白い。)
(3)政治の中で毒殺が誰に、どのように用いられ、どのように見なされてきたのか、ということについて書かれた本なのだが、大体最初の数十ページを読めば言いたいことがわかる。要は、「非力なもの(特に女)が使うもので、聖職者は剣で殺しちゃだめだから毒殺が主流で、でも使うと卑怯だと思われるから誰々が毒殺した/企んだという風説を流布することも行われていて、、、」という話。
(4)原文が悪いのか訳者のせいもあるのか、読みにくい。そのせいで、時代や地域による変化というこの本が伝えるべき部分が全然伝わってこない。
西洋政治史オタは読んでみてください。それ以外の人にとっては地雷。
毒殺の世界史 上 ~アレクサンドロス大王からリチャード獅子心王まで
- 作者: フランク・コラール,吉田春美
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 単行本
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毒殺の世界史 下 ~教皇アレクサンデル6世からユーシェンコ大統領まで
- 作者: フランク・コラール,吉田春美
- 出版社/メーカー: 原書房
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