ビルマの独裁者 タンシュエ -知られざる軍事政権の全貌
ベネディクト・ロジャーズ
秋元由紀 訳
白水社
2011年
そういえばビルマって国家元首の名前も知らんなーと思って読んでみた。
筆者はイギリスの人権活動家である。で、イギリスの人権活動家がビルマのことを書いたらこうなりそうだな、というのをそのまま形にした本だった。意外だったのはイギリス統治時代に対する批判的検討がほとんど見られなかったことくらいで。(調べたら筆者は国会議員志望らしい。むべなるかな。)
現代ビルマ史が簡単にさらえたのは収穫だったが、なぜビルマが現在のような状況になったのかは、あまりわからなかった。周辺国との関係に関する記述が薄い。周辺各国に対してどうふるまったのかこそ、「独裁者」の振る舞いで興味をひく部分だと思うのだけれど。たとえば、少し前まで激しくちょっかいを出してビルマが軍事国化する大きな要因になっていた中国が、最近では政権への第一の武器供給者になっているとあり、その間の記述がないのでどんな意図が両者にあったのかとか全然わからない。
で何が書いてあるかというと、タンシュエの生い立ちからの経歴、その性格について言われていること(噂)、彼の悪逆非道の行いの数々が主である。
民間人の殺戮やレイプを擁護する気はもとよりないが、ただこの本からわかるのは、欧米から嫌われた国の指導者がどんな風になじられるかということだろう。
- 作者: ベネディクトロジャーズ,秋元由紀
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2011/12/23
- メディア: 単行本
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