tkinuiの日記

見聞きしたものの備忘録

大いなる幻影

ジャン・ルノワール

1937年

 

第一次世界大戦において、ドイツ軍の捕虜となったフランス将校の姿を描いた映画。フランス軍/ドイツ軍(/イギリス軍)、貴族/平民、ユダヤ人/非ユダヤ人、ドイツ人/フランス人、金持ち/庶民と様々なわかりやすい区切りが存在していて、それぞれが当時の、いや今もそうなのだろうけれど、誰にでもわかるヨーロッパでの対立軸であったのだなあということがよくわかる。ピエール・フレネー演じるド・ボアルデュー大尉と、シュトロハイム演じるドイツ軍大尉が明晰・優秀な軍人であり魅力的な役なのだが、この2人は貴族という設定である。貴族というのは優秀であると、当時一般に見なされていたのだろうか。

上に挙げたような対立軸を一々示すためなのか、それともジャン・ルノワール自身の体験をできるだけ余さず描きたかったからなのか、映画としては色々な場面を詰め込みすぎな印象を受けた。まあその分内容が濃いともいえる。

テーマとして、誰もが意識のうえで共有している差別/区別を、戦争という題材をとってその超克を表現するというのはなんとなくベタな話だなーと見ていて思ったが、調べてみるとどうもこの映画がそのプロトタイプらしい。なるほどなるほど。

大いなる幻影 [DVD]

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